周瑜 天童の誉れ
 
周瑜がまだ七歳のころ、見識の高いので有名な男を家庭教師
として招いていた。
周瑜の家は名門で、この家に知識人が多く招かれることが多く、
その中でも特にその男は秀でていたという。

在る日、周瑜の母の祖父の家の隣に住んでいた張という老婦人
がこの家庭教師の評判を聞きつけて訪ねてきた。

老婦人は、大事な一人息子が
よその土地へ商いをしに行ったきり、三年も音沙汰がないのを
案じて毎日を暮らしていたのだという。

      老婦人は在る夜、 梨が二つに割れる夢を見た。
    この夢が吉兆なのかそうでないのか、気になって仕方が無かったため、この家庭教師に夢の意味を解いてくれるように頼みに来たのだった。

すると家庭教師の男は、

「梨の読みの「り」とは「離別」の「り」と同じ読音だから、梨は離別することを意味しているにちがいない。
この夢の意味するところは、あなたが死ぬか、それとももう息子さんが亡くなってこの世にいないか、どちらかということでしょう」

と言った。

老婦人はその場で泣き崩れてしまった。
家庭教師の男は
「お気の毒ですが・・・」と言ってその場を去った。
それを横で聞いていた周瑜は、この話にどうしても納得できなかった。

横で泣いている老婦人をみるにつけ、
読音が同じというだけの解釈をして老婦人をこのように嘆かせるのはどうか、とも思った。
 
そこで、周瑜は老婦人の傍に寄って、声をかけた。


「泣かないで、おばあさん。
今の先生の解釈は間違っているんだよ。
おばあさんが見たのは、梨が割れて、
中の種が見えたという夢でしょう?
種っていうのは家族を示すものだからね、
三年ぶりに息子さんに会える、っていうことだよ。
ね?だから泣かないで」

と言った。

老婦人はこの幼い子供が一生懸命自分を
慰めてくれていることを感じ、泣き止んだが
周瑜の言う事を鵜呑みにしたわけではなかった。

ところが二日後、
老婦人の元へ息子が帰ってきたのである。

老婦人は驚き、喜んだ。
「ああ、あの子のいうとおりだった!」

そして、会う人会う人に

「あの子は天童だよ。
たった七歳で夢を解けるんだ。
あの子の先生よりもすごいんだよ」

といって誉めてまわった。

おかげで周瑜の評判は高まり、その地方では知らぬ者のない程となった。



(終)